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コーヒールンバ






「お前はこいつと浮気しているんだろう?俺は知っている!」
 ヒワタシが俺を指差した。突然のことに俺は驚いた。全く身に覚えがない。


「な、何を根拠にそんな?私はヘンミさんとそんな関係になったことは一切ありません。誤解です!」
 フミコさんが怒りを含んで叫んだ。


「根拠?根拠はあるぞ。これだ」 
 そう言って、ヒワタシは歯をむき出し、それを指差した。
 そこには大分黒く染まった歯が並んでいる。


「最近、俺はコーヒーのブレンドを色々試みていて、特殊な性質のコーヒーを作ってしまったんだ。それはとてもいい味なんだが、副作用というのか、一杯飲んだだけで、歯が黒く染まるんだ」
と、彼はまた自分の歯を見せた。


「しかも、それだけじゃなく、人にもこの色は伝染る。鏡を見てみろ。お前の歯は、薄っすらと黒くなっているだろう。俺から伝染ったんだ、口移しでな」
 フミコさんは思わず自分の口を抑えた。どうやら事実らしい。


「そして、なぜかおまえの歯も黒くなっているよなあ、ヘンミ」
 私は思わず身体をこわばらせた。
「フミコから伝染ったんだろう。その黒くなった歯が浮気の証拠だ。素直に認めたらどうだ?」


 問い詰められ、フミコさんが逆上した。
「嘘よ、何かの間違いよ。私はヘンミさんと浮気なんて絶対していない」
 それを聞き、すかさず俺は土下座した。
「すまん、俺が悪いんだ」


 床に這いつくばった俺の姿を見て、ヒワタシは勝ち誇った顔をし、フミコさんは驚き、目を見張った。
「俺がこの前、ここに泊まった時、つい出来心で、寝ているフミコさんの唇を奪ったんだ。ただ、やったのはそこまでで、フミコさんは決してお前を裏切ってはいない。俺が一方的に悪いんだ」


 俺の告白をヒワタシは信じた。俺は二人にはひどく責められ、関係を絶たれてしまった。
 
 俺にとって、非常に悔いの残る結果となってしまった。俺はヒワタシの唇の感触を思い出し、胸を痛めた。


終わり


 


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ジャンル : 小説・文学

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ジャック・リッチーの短篇集を読んで、その読みやすさに感銘を受けた火消茶腕です。

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