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 いらっしゃいませ。
このブログにはしろうとが趣味で書いた創作ショートショートが載せてあります。

 

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目次1~100

1、「前書き そんな時代」 創作をする方々に

2、「原罪 はじめてのつみ」 宗教注意

3、「白衣の天使」 看護師さんが好きな人どうぞ

4、「風邪薬」 夢の風邪薬です

5、「選ばれた男」 ホラー?

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目次101~

101、「神はサイコロを振る」 ある男が罪に問われ
    「神はサイコロを振る」(オチ付け足し)

102、「奇跡」 起きる時は起きるのかも

103、「奇跡は起こらなかった」 検死担当医が呼ばれて

104、「黒いサプライズ」 シモネタ注意

105、「白いサプライズ」シモネタ注意. 

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マシュマロテスト



「マシュマロ・テストというものを知っておるか?」
 女王様がわたくしにお尋ねになられました。

 マシュマロ・テスト。
 確か、未就学児童を対象にした心理実験で、机と椅子しかない部屋にテストを受ける子供を一人だけ連れてきて、皿にマシュマロを一個置き、「これから用事があって、わたしは数十分ほど、部屋を出てるけれど、そのマシュマロは食べていい。けれど、わたしが戻ってくるまで食べるのを我慢したら、もう一個マシュマロをあげる」と言って、子供がもう一個のマシュマロをもらうために、目の前にあるマシュマロを食べずに我慢できるか、という忍耐というか、抑制力というか、そういうものが備わっているかを試すテストだったはず。

 しかも、二個マシュマロを貰った子供は、おとなになってもいい暮らしをしていた、という、なんだか怪しそうな結論も導かれていたような気が。

 しかし、ここは、自分の知識をひけらかす場面ではない。
 わたくしは答えました。
「どこかで聞いたような気もしますが、覚えておりません。よろしければ、お教え願いませんでしょうか」
 
 深々と頭を下げると、女王様は蔑みの目を向け、わたくしに言いました。
「本当にお前は物を知らないねえ」
 そして得意げに、わたくしにマシュマロ・テストについての説明を述べられました。

 お教えくださった内容は、やはりわたくしが覚えていたことと大差はなく、新しい知見は皆無でしたが、わたくしはさも感心したように聞き入りました。

「なるほど、そのようなテストでございましたか。なかなか、興味深いものだと思います

 わたくしがそう答えると、女王様がすかさずおっしゃいました。

「そこでだ!」
 いかにも面白いことを思いついたような顔です。
「お前がわたしの寵愛、つまりご褒美を、一週間、いや、それでは甘いか。一ヶ月、そう、一ヶ月我慢したら、わたしだけではなく、もうひとり、別の女王様にかしずけるようにしてやろう。
 もし一ヶ月の間に我慢できなくなったなら、素直にわたしに言えばいい。いつもどおり、お前にご褒美を授けよう。しかし、二人目の女王様はなしだ。分かったか?」

 満面の笑みを称え、ルミコ女王様はわたくしにおっしゃいました。
 何というテストでしょう。
 一ヶ月。一ヶ月もの間、ルミコ女王様のご褒美がもらえない。
 何という苦しみ。
 しかし、この苦しみこそわたくしの望むもの。
 
 けれど、一ヶ月耐えたなら……。
 もうひとりの女王様欲しさに、ルミコ女王様のご褒美を欲しがらなかったことになる。そうなったら、ルミコ女王様はお怒りになり、更にわたくしを罰してくれるのだろうか?それとも、わたくしを見捨てておしまいになるのだろうか?

 一ヶ月、我慢するか、すぐに女王様に懇願するか?
 わたくしは正解がわからず、日々苦悶するのでした。この、大人のマシュマロ・テストに。

終わり

テーマ : ショートショート
ジャンル : 小説・文学

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続、泣いた赤鬼




「鬼さん、どうして泣いてるの?」
 
 青鬼の置き手紙を読んで、泣きに泣いている赤鬼に、いつの間にか住処の洞窟に入って来ていた娘が、声をかけました。
 それはこの前親しくなった村の娘でした。

 最早青鬼とのヤラセが、村の皆にバレても構わない、という気持ちになっていた赤鬼は、正直に事と次第を娘に打ち明けました。
「まあ、そんなことが」
 娘は驚きながらも、赤鬼の話を親身になって聞きました。

 しかし、実は赤鬼が村の人々と仲良くなるために考えた、二匹の鬼たちの計画を、娘は知っていました。
 赤鬼たちは気付いていませんでしたが、娘は随分前から二匹の様子を伺っていてたのです。それで、鬼たちが皆が言うよな乱暴者ではないことも、村人たちから恐れられているのを赤鬼が残念に思っていたことも、それを青鬼がなんとかしてやりたいと思っていたことも、見聞きしていたのでした。

 さらに、赤鬼に置き手紙を書いた後、青鬼がどこに行ったのかも、彼の後をつけた娘は知ってました。

「それで、赤鬼さんはどうしたいんですか?」
 娘が聞きました。
 赤鬼は鼻をぐずらせながら、「青鬼を探す。そして、戻ってきてもらう」と答えました。

「そうですか」
 娘はうなずきました。
「けれど、たとえ青鬼さんを見つけられたとして、青鬼さんは素直にここに戻って来てくれるでしょうか?」

 娘の言葉を聞いて、赤鬼はハッとしました。赤鬼は青鬼の性格をよく分かっていました。確かに、青鬼が簡単に戻ってきてくれるとは思えません。自分(赤鬼)の為を思って、ここに戻ってくることは、きっと、頑なに拒みそうです。

 赤鬼が困った顔をして黙り込むと、娘が赤鬼に聞きました。
「赤鬼さんは青鬼さんのことをどう思ってるんですか?」
「どうって……、いい友達だと思っているよ」
 赤鬼は答えました。

「それだけですか?」
 娘が重ねて尋ねました。
「それだけって……、どういう意味?」
 赤鬼は訳がわからずに、娘に聞き返しました。

 すると娘は大きくため息を付くと、「青鬼さん、可哀そう」と小さくつぶやきました。そして、「今のままなら、青鬼さんは多分、赤鬼さんがいくら頼んでも、ここには戻ってこないと思いますよ」と、赤鬼に言いました。

「なんで?なんでそんなことが君にわかるの?」
 赤鬼がいくらかムッとして聞きました。
 それに対し、娘はまた、軽くため息をつき、言いました。

「青鬼さんは、あなたが村の人達から怖がられていることを悲しんでいるのを知って、”自分が村で暴れるから、それを止めに来て、自分をやっつけろ。それで、君はは村の人達と仲良くなれるはず”、と言ってくれたんですよね」
「そうだよ、青鬼くんは言うだけじゃなく、本当に僕のためにそうしてくれたんだ」
 赤鬼が答えました。

「つまり、自分が悪者になっても、自分を貶めてでもあなたの望みを叶えてあげようとしたんですよね、青鬼さんは」
 娘が言いました。
「そうだよ、青鬼くんは自分が村の人に嫌われることは覚悟の上で、僕のためにしてくれたんだ」
 赤鬼は涙ぐみました。

「それほどの自己犠牲、単なる友情でできるもんでしょうか?」
 娘が言いました。
「えっ?」
 赤鬼が驚いて言いました。
「単なる友情じゃないって?じゃあ、なんだっていうんだい?」

「愛だと思います。青鬼さんはあなたを愛しているんですよ」
 娘は答えました。
「まさか!」
 赤鬼はしばらく言葉が出ませんでした。
「だって、僕たちは男同士だよ。そんな……」

 混乱した様子の赤鬼に、娘が言いました。
「赤鬼さんがそんな風に普通の感覚だったから、青鬼さんは今回の計画を立てたんだと思うんです。彼にとっては、ここを離れるのにいい機会だと思ったんでしょう。思いを伝えられない相手のそばにずっといるよりは、その人のために我が身を犠牲にして去っていくほうが幸せだと」

「本当に、青鬼くんは、その、僕とそういう関係になりたい、と思っていたの?」
 赤鬼は半信半疑で、娘に聞きました。
「はい、わたしは青鬼さんから聞きました」
 娘はきっぱりと言いました。

「じゃあ、僕が青鬼くんを探し当てたとして、その時、僕が青鬼くんの気持ちを受け入れたなら、青鬼くんはここに戻ってきてくれるだろうか?」
 赤鬼が尋ねました。
「ええ、青鬼さんが赤鬼さんと両思いだと知っなら、きっと戻ってきてくれると思いますよ。だって、誰だって、愛し、愛される人のそばにいたい、と思わずにはいられないじゃあないですか」

 娘の確信に満ちた言葉に、赤鬼は勇気を貰ったようです。
「青鬼くん」
 そうつぶやくと、急いで旅の支度をはじめました。

「青鬼さんは北の山を超えて、東の谷の洞窟に向かったようですよ」
 娘が言いました。
「ありがとう。色々世話になったね」
 赤鬼が頭を下げました。

「いいえ、わたしはこういうおせっかいが好きなんです。礼なんて」
 娘はニコニコ笑っています。

 北の山に向かった赤鬼の後ろ姿を見送りながら、こんなにうまくいくなんて、と娘は思いました。
 青鬼が赤鬼のことを愛していると本人からは一言も聞いていません。なので、二人が再開した後、どんな関係になるかはわかりませんが、とりあえず、自分の、男性同士をカップルにする、という趣味がまた一つ達成されたことに、娘は心底愉悦を感じるのでした。

終わり

テーマ : ショートショート
ジャンル : 小説・文学

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Author:火消茶腕
ジャック・リッチーの短篇集を読んで、その読みやすさに感銘を受けた火消茶腕です。

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