コンテントヘッダー

初めてご訪問された方へ



 いらっしゃいませ。
このブログにはしろうとが趣味で書いた創作ショートショートが載せてあります。

 

続きを読む

スポンサーサイト
このページのトップへ
コンテントヘッダー

目次1~100

1、「前書き そんな時代」 創作をする方々に

2、「原罪 はじめてのつみ」 宗教注意

3、「白衣の天使」 看護師さんが好きな人どうぞ

4、「風邪薬」 夢の風邪薬です

5、「選ばれた男」 ホラー?

続きを読む

このページのトップへ
コンテントヘッダー

目次101~

101、「神はサイコロを振る」 ある男が罪に問われ
    「神はサイコロを振る」(オチ付け足し)

102、「奇跡」 起きる時は起きるのかも

103、「奇跡は起こらなかった」 検死担当医が呼ばれて

104、「黒いサプライズ」 シモネタ注意

105、「白いサプライズ」シモネタ注意. 

続きを読む

このページのトップへ
コンテントヘッダー

生前整理



「今度から生前整理を始めるよ」
 どこから聞いてきたのか、夫がそんなことを突然言い出した。

 夫も私もともに五十代。息子も娘も既に社会人となり、家を出ているので、一戸建てに二人暮らしだ。さほど広くもない我が家ではあるが、二人が使い切る程に狭くはない。
 そのため、余った部屋は徐々に乱雑とした物置と化していて、確かに、このまま放置しておくのは得策ではないかもしれない。

 しかし、私は片付けは根本的に苦手だ。基本的に物が捨てられないのだ。つい、いつかは使うかもと、種々雑多なものを取っておく癖があり、お陰で家のあらゆる場所が雑然としていた。

 それでも、「ん~、私はいいや。あなたの分だけやって」と、私は逃げた。
 だってめんどくさいじゃないですか。すぐすぐどちらかがどうこうなることはないだろうし。

「じゃあ、まず、僕の私物だけを整理するね。それが終わったら、家のもの。それから二人の共通のものとやっていこう。あとは気が向いたら、君が自分のものをやりなよ」
 夫はそう言って、どこからか大量の段ボール箱を調達してきた。

 それから夫は玄関とか洗面所とか、場所を決めては自分のものを全部出し、いらないと思うものを段ボール箱に詰め込んだ。
 しかし、それをすぐに捨てることはしないらしい。

「ここに中身と、今日の日付を書いて、物置に置いておくんだよ。そして一年間はそのままにしておく。一年の間に使う事態が発生したら、それはいらないものじゃなかったってことで、箱から取り出して使えばいい。一年間、出番がなかったのなら、それは本当にいらないものだから捨てる、という訳」

「物たちに執行猶予を与えてるわけね」
「まあ、そういうこと」
 夫は答えた。

 それから、夫の若い頃の服や靴、独身時代趣味だった登山用品、本やCDなどが次々と箱詰めされていった。
 それに伴い、徐々に我が家の風通しが良くなった感じもしたが、家にあるのは大半が私のものなので、目立った変化はない。
 
 休日を1日使って、夫は私物の整理をやり遂げたようだった。次は家のものか。
 ダンボールでいっぱいになった物置を眺め、私はある箱に目が行った。そこには”その他”と書いてある。
 他の箱にはきちんと専門書とか靴とか、中身が表記されているのに、それだけが曖昧になっていることに私は違和感を覚え、その箱を手にとって見た。異様に軽い。

 好奇心には勝てず、悪いと思いながらも、私は夫に無断でその箱を開けてみた。
 中には書類があった。

 ああ、夫は知っていたんだ。
 それは私と元カレとの浮気を報告している興信所の書類だった。

 私はなかなかものを捨てられなくて、結婚後もズルズルと元カレと付き合っていた。あちらが転勤して終わったけれど、二十年くらい前のことだけど。

 夫は一年経ったら捨てる箱にこれを入れていた。私を許してくれているのだろうか?それとも、この一年で何らかの答えを出すために、ここに入れたのか?

 果たして私はどうしたらいいのだろう。
 洗いざらい告白する?何も見なかったことにして、平静を装う?
 それとも、前よりはいくらか優しくしてみる?

 自分が整理されるまえに、自分で整理するべき時なのだろうか。

終わり

テーマ : ショートショート
ジャンル : 小説・文学

このページのトップへ
コンテントヘッダー

女房を質に入れてでも

「えっ?一千万?一千万円も融資していただけるんですか?」
 男が驚いて叫んだ。

「まあ、モノがモノですから、そのくらいが相場になります」
 裏の世界に通じているという噂のある、質屋が答えた。

「一千万!それだけあれば……」
 男は目を輝かせた。

「ただし、流質期限は最短の三ヶ月です。しかも、利子の支払いによる、質の契約更新はできません」
 質屋の言葉に、男は少し考え込んだ。

「もしその気になられましたら、もちろん、弁済された暁にはお返ししますが、お二人の署名捺印済みの離婚届と、夫の欄は空白で、奥さんの方だけ署名捺印された婚姻届を携えて、奥さんと共に、ここにお越し下さい。そうしたら、一千万、耳を揃えてご融資します」

「女房をここに連れてきたとして、その後、女房は、その、どうなるんですか?」
 不安な表情で男が聞いた。

「手荒な真似はいたしませんから安心してください」
 質屋が答えた。
「質草に手を付けるような真似は、商売の倫理に反しますし。ただし、逃亡されてはかないませんから、弁済していただけるまでは、某所に軟禁させていただきます」

「よそに軟禁……」
 男は考え込んだ。
「あの、その、女房を軟禁していただいても結構なんですが、その、子供も一緒って訳にはいかないでしょうか?」

「子供?」
 質屋が言った。
「子供がいらっしゃるんで?」

「はい、一人」
 男が答えた。
「娘でまだ三つでして、女房は片親で、義理の母親だけなんですが、彼女は体が弱くて、実家には預けづらいんです」

「あなたの方の実家は?」
 質屋が聞いた。
「私の方の実家は、私が両親から縁切りされてまして……。それに遠いですしね」

 男の言葉に質屋がため息を付いた。
「いいでしょう。子供が一緒でも結構です。ただし、それなら、弁済できず離婚する時は、あなたは子供の親権は放棄する旨を、一筆書いてください」

 質屋の話を聞き終わり、男は希望に満ちた顔で、店を出ていった。

「たまに、本気で女房を質に入れようとしてくる馬鹿がいるが」
 質屋はさっき男から渡された、男の女房の写真を見つめ、言った。
「男運が悪いのは、お母さんからの遺伝か」

 そこには、昔、捨てた女が産んだ、自分の娘の顔があった。
「彼女は私からの援助は頑なに拒んだが、これなら文句ないだろう。一千万円で娘の悪縁を断ってやろう。それにしても、いつの間にか孫までいたとは」

 質屋は男が女房を連れてくるのが、待ち遠しくてたまらなかった。

終わり

テーマ : ショートショート
ジャンル : 小説・文学

このページのトップへ
このページのトップへ
プロフィール

火消茶腕

Author:火消茶腕
ジャック・リッチーの短篇集を読んで、その読みやすさに感銘を受けた火消茶腕です。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
フリーエリア
フリーエリア
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR