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 いらっしゃいませ。
このブログにはしろうとが趣味で書いた創作ショートショートが載せてあります。

 

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目次1~100

1、「前書き そんな時代」 創作をする方々に

2、「原罪 はじめてのつみ」 宗教注意

3、「白衣の天使」 看護師さんが好きな人どうぞ

4、「風邪薬」 夢の風邪薬です

5、「選ばれた男」 ホラー?

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目次101~

101、「神はサイコロを振る」 ある男が罪に問われ
    「神はサイコロを振る」(オチ付け足し)

102、「奇跡」 起きる時は起きるのかも

103、「奇跡は起こらなかった」 検死担当医が呼ばれて

104、「黒いサプライズ」 シモネタ注意

105、「白いサプライズ」シモネタ注意. 

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偶然




「ごめん、やっぱりやめよう」
 男が女を突き放した。
 
 相手の意外な態度に女は驚いたが、すぐに気を取り直し、すがった。
「どうして?なぜ?私の事好きだって、そう言ってくれたじゃない。あれは嘘だったの?」

 女の泣きそうな表情を見て、男は顔を背けた。
「いや、嘘じゃない。嘘じゃないんだけど……、駄目なんだ。君と付き合うわけにはいかないんだ。ごめん」

 深々と頭を下げる男に、女が言った。
「それは、あなたの過去のことが原因?今まで付き合った人がみんな死んでしまったって聞いたけど、そのせいなの?」

 女の言葉に男は驚いて顔を上げた。
「一体、誰にそれを?」
「セキ君から聞いたの。あなたの親友の」

 男はそれを聞き黙ってしまった。
「じゃあ、本当のことなんだ。あなたと付き合った女の人、8人全員が死んでしまったって」
 
 女がつぶやくように言うと、男は言った。
「いや、正確には違うんだ。彼女たちは僕と付き合ってた間に死んだんじゃなくて、僕と別れた後に死んだんだ。8人全員。みんな、別れて一年間の間に、事故や病気で……」

「自殺した娘は一人もいない。大体、いつも僕が愛想つかされる格好で別れているから、そんなに引きずったわけでもないし、僕だって、別れた直後は悲しかったけど、恨んだことなんて一度もないんだけど……」

 それを聞き、女がニッコリ笑った。
「なあんだ、それなら別れなければいいんでしょ?私があなたのこと嫌いになるなんて考えられない。ワタセ君もそうなんだよね?だったら大丈夫。何も心配いらないわよ」

 ニコニコと相手の手を取る女の目を見ずに男が言った。
「前に付き合った娘もそう言って、付き合ったんだけど、結局……」

「大丈夫だって。私はその娘とは違うわ。だから、付き合いましょうよ、ねっ?」
 女は男の手をギュッと握った。

 よし、もう少しで落ちそう。過去のことなんてただの偶然。気にすることなんてないのに。

 私だって、付き合った男、3人ほど、みんな付き合っている最中に死んじゃたけど、そういう変な偶然はよくあることなんだと思う。考えすぎだよ。

「お願い。ねっ?」
 女の潤んだ瞳を見て、男は根負けしたようにうなずいた。

終わり

テーマ : ショートショート
ジャンル : 小説・文学

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物忘れ



「はて?今日は何するんだっけかな?」
 おじいさんが言いました。
「確か浜辺に行って……」

「浜辺?」
 おばあさんがそれを遮りました。
「それはとっくにやったでしょう。あなたの前妻はずっと昔にくにに帰りましたよ。羽衣を奪い返してね」

「そうだっけか?」
 おばあさんに言われ、おじいさんは困惑気味でしたが、「いや待て!」と、突如ひらめいたらしく、叫びました。
「浜辺は浜辺でも、まだ、亀は助けてなかったんじゃないかな?」

 おじいさんの言葉におばあさんは呆れて返しました。
「それもとっくにやってしまったことでしょう。自分がそんなに老けてしまった原因、忘れてしまったんですか?」

「そうだったか?」
「そうですよ」
 おばあさんは軽くため息を付きました。

「じゃあ、今日は山へ行く日だったか!それじゃ、さっそく、昼飯のおむすびを作ってくれ。よく転がるように、まん丸にな」

 それを聞いて、おばあさんは今度は深くため息を付きました。
「本当、おじいさんはこの頃、物忘れがとてもひどくなってるんですねえ。それもとっくにやったじゃあありませんか。おかげで、こんな裕福な暮らしができてるんですよ」

「あれ?そうか。じゃあ、昼飯は持っていかずに、山へ行って竹を取ってくればいいのかな?」
 その言葉を聞き、おばあさんは悲しそうに言いました。
「ああ、あの子はねえ。もう、会えないでしょうねえ。月に行ってしまったんですから」

「竹取じゃないのか?じゃあ、山へ柴刈りに行けばいいのか?」
 おばあさんは首を横に振りました。
「それで私が川へ洗濯に行くのはもうやりました。あの子は今は鬼退治に向かってる最中ですよ」

「それじゃあ、山へ行く途中で鶴を助けて……」
「鶴も雀も、既に一度助けてます」
 おばあさんがピシャリと言いました。

「ん~、じゃ、畑か。畑へポチと一緒に……」
「ポチはとっくに死んでます」

「じゃあ、あれだ」
 おじいさんが手をたたくと、今度こそ分かったという風に言いました。
「たぬきだ!畑を荒らすたぬきを捕まえてくるんだ」

「ああ、それはまだやってませんねえ」
 おばあさんがうなずきました。

「よ~し、それじゃ、行ってくる。おばさんは夕飯の用意をして待っていてくれ。今夜はたぬき汁だ」
 おじいさんは意気揚々と、家を出ていきました。おばさんはその姿を優しく見送りました。
 その後に起こる悲劇も知らずに。

”カチカチ山編 開帳”

終わり

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ジャンル : 小説・文学

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ジャック・リッチーの短篇集を読んで、その読みやすさに感銘を受けた火消茶腕です。

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